いぬがお膠原病内科医の私情漏声

日常と趣味と医学少々。

認知症進行抑制薬「レカネマブ」の話

高齢化社会の今の医学の壁、悪性腫瘍を乗り越えた先には、認知症の高齢者だらけの社会が待っているかもしれない。

「こんな社会嫌だ、どんな社会?」の大喜利の答えになりそうだが全然笑い事ではない。

 

どんなに病気の解明が進んで治療が開発されたとしても、脳の寿命というか限界がおよそ120年だとどこかで聞いたことがある。

 

アルツハイマー認知症の原因であるアミロイドβを除去して認知症の進行を抑制する「レカネマブ」が承認された。完全承認まではもう暫くかかるようだ。

(お恥ずかしながらソースレベルが素人レベルで恐縮なのだが…)

 

2021年にアデュカヌマブが先行しているが、データ不十分とレカネマブの2倍にもなる薬価から普及までは至っていない。

 

お値段は年間で約350万円、公的保険の適応になったとしても1日あたり2,000円近くするお高い治療だ。ただ現時点では事前に腰椎穿刺やPET等でアミロイドβの蓄積量を確認する必要があり、やや医療サイドとしてもハードルは高いように思える(特にPET?!という点)。

 

85歳以上の患者さんへの抗認知症薬は効果に乏しいと仰られる先生もいらっしゃる。今回の薬も進行した認知症は適応外のようだ。

 

あとは認知機能低下のスピード抑制の「27%」をどう見るか。一方で、それでも73%分は進行すると言えるわけだ。そもそも認知機能は、一方的に進行して戻るものでは無いので、尺度としても家族が実感できるようなものではないので、なんとも言えない。

ほどまだまだこの分野の創薬競争は激化しそうだ。

 

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100万円の出産

2023年この1月から出産準備金として10万円がクーポン等で給付され、2024年度から出産育児一時金が42→50万円に引き上げられるようだ。


そもそも出産は病気ではないので保険診療ではない。
2021年度の出産費用の全国平均は47.3万円。出産育児一時金と差し引いてもどうしても足が出てしまう。
東京都内はエステ等がついてtotal 100万越えの所謂「セレブ産院」などもあり激戦区なようだ。


確かに妻が妊娠して出産を見据えたとき、
きちんと調べていないわけだが、各病院・産院の出産費用にいてはとても不透明だな、と感じた。


これに対して2024年4月には、各医療機関で出産費用の公表を行う枠組みが作られるそうだ。
出産一時金の引き上げに伴って医療機関の出産費用の引き上げを抑制するねらいだ。


これで思い出したのは、医学部の大学別 医師国家試験合格率についてだ。
総じて医師国家試験の合格率は90%前後と一見高い合格率で推移しているが、

月並ではあるが、決して国家試験が簡単なわけではない。


「9割が受かる試験だから」は本当に気休めの言葉であった。
少なくとも当時の僕の周りでそういった微温的な雰囲気は流れていなかった。


「3つ落としたら即ドボン問題」。こう書くと何ともバラエティ感が満載な企画である。
他がいくら点数が良くても落ちうる穴なので、優秀なあのコでもハマる可能性があるのだ。


その試験の大学別の合格率ランキングの分母は「受験者数」であった。
医学部卒業のためには卒業試験(大学ごとに設置)、国家資格を取得するための国家試験(厚生労働省管轄)がある。
無論、見た目上の合格率を高めるために、卒業試験で本番に合格しうるかどうか篩にかけておくことが想像つく

そのためにも公平性を保つためにも分母の「受験者数」ではなく、「出願者数」「6年次在籍者数」も公表されるようになった。


出産する医療機関に求める条件は人それぞれだろうが、まずは安全第一。
出産費用のために自宅近くの医療機関を選択できないのはいざという時困ってしまうがどうにかならないのだろうか。

 

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病棟急変。アマゾンに赴いた後輩。

研修医時代の思い出。

 

ある日の救急当直。私の研修病院では2年目と1年目の研修医がセットで当直をしていた。病棟急変にも呼ばれることがあり、その日は1年目の先生がまだ対応に慣れていなかったこともあり、2年目の僕と1年目のA先生(仮)とともに対応した。

 

まあ一通り何とか対応を終えて、

僕「一通りやったこととかカルテに記載お願いね、後で確認するよー」

とカルテの記載をA先生にお願いした。

 

少ししてカルテを覗いて見ると、

 

「◯時×分。△にて救急科にコールがあり、我々は□□病棟に赴いた。〜〜〜」

 

何も間違っていないんだけれども、

まさかの物語調のスタートと、今にもアマゾンに赴いていそうな文章に

当直中のカラカラの心にオアシスが生まれたのである。

普段からちょっと面白い後輩であったこともまた相交わり。

(記憶により若干の脚色あり。笑)

 

(かと言う私は、2年目の最初までカルテが長すぎて上級医に「カルテに小説でも書く気か」と叱られていた。笑)

 

本当に、「皆んな最初は初心者」。

今は立派なあの医者もこの医者も、研修医時代には1つや2つは恥ずかしいことがあったはずだ。無いとしたら、当時は恥ずかしい自覚がなかったか、忘れてしまっているか、だろう。

 

そしてA先生もご立派になられて、またいつか一緒に仕事をする日が来るだろう。

狭い世界だからこそ「偶然」の巡り合いが多いのは医者のいいところだ。

 

カルテを書いていて時々思い出すエピソード。今でも少し和ませてくれる。

 

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最初に質問する奴は偉いしLINEの返信が早い。

最初に質問する奴は偉い
馬鹿な質問をする奴は偉い
関係ない質問をする奴は偉い

 

慣用的な言葉だが、日々日々痛感させられる言葉だ。

学会に限らず、講演会から小規模な講義まで自分に言い聞かせている。

言い聞かせてはいるのだが。なかなかできない…。

 

そして「最初に質問する奴」はLINEの返信も早い。

決して暇なわけではなく、後回しにしない人なんだな、と思う。

 

こう僕自身が感じたのは、学生時代のブロガーの大先輩だ。

先輩は信じられないくらいの大きさ・量の仕事を任されていたし、いの一番で質問して人前で話す姿もそれは堂々としたものであった。

 

そんな僕は質問できたとしても、典型的に慣用句の2, 3番目の人で、様子を見ながら質問しようかしまいかと逡巡している小胆者だ(かつ後で恥ずかしい質問じゃなかったか、と気にしている)。

 

ブログも好きでやっているとはいえ自分の時間が削られる。そんな中でもご飯にも誘ってくれていた(そして行動力がハンパない)し、とにかくLINEの反応速度が早かった。

 

多分仕事も早いんだろうな、と思ったし、自身のタスクマネジメントも上手なんだろうな、と思った。

 

それからというもの、せめても、とという思いでLINEは早く返信するようにしている。

 

(真面目なことを書きすぎてカタイので今度は柔めの話をしようと思います。笑)

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ブログ界隈への帰還 〜医大生→医者カテゴリへ〜

とても愚直で愛らしい。

紛れもなく、早朝の新幹線内でキーボードを押しているこの自分だ。(え、僕…?!)

3日坊主ならぬ1-2日坊主でお馴染みの僕が、よくあるコラムやら自己啓発本を読んで、
いつかやろうを今年やろう!
アウトプットで圧倒的成長!(?)
という気持ちで一念発起でブログを開設しているのだ。

 

夜な夜な変なテンションで書いた記事や思いつきほど危ないものはない。
以前に数年間ブログを更新していたことがあったが、筆が走る夜に書いた記事に限って後から読んでみると、

実につまらん…!

とまあ自己嫌悪になりながら、いつしか多忙を理由に託けて辞めてしまっていた。

しかし、懲りずに今回もこうして記事を書いている。

立派なことを書こうとしても、完璧は難しい。
完璧だと思っていても、大事なデートの日に限って、インドの額につけるあれ(ビンディーというそうだ)のようにニキビができるものだ。

江戸時代末期美濃の儒学者 佐藤一斎の言志四録に「自厳他寛」という言葉があるそうだ。
かという自分は、典型的に他人に厳しく自分に甘い、いわば「他厳自寛」かもしれない。

 

以前、ブログをやっていたと書いたが、
近年の相手が液晶の向こうにいるとさえ思えるSNSと比較すれば、ブログはなんとも孤独だ。
それでももう一度書きたいな、と思った理由は、
一生懸命書いていれば結果が出てくるから
そして少なくても反響が必ずあるから

コメントが1件でもつけば喜んで尻尾を振って見に行ったものです。

そして今の野望は、
いつかはどんな形であれ本を書いてみたい!
有名になりたいわけではないけれども、
少しでも私が志す膠原病の方の目にも気休めにでもなってもらいたい!
(もちろん医療者もwelcomeですが)

拙劣であっても、宝くじのように買わないと当たらない!

昔からどうにもこうにもプレゼンが下手で、とにかく長くて要領を得ていない、本当に伝えたいことが伝わらない!
というのが私の悩みなわけですが、文章なら時間をかけて伝えられる。

 

患者への説明をするときにいつも話すことがある。
「ネットには良くも悪くも、情報が多すぎる!」こと。
医師なのでとりわけ疾患についてだ。
そんな方にも分かりやすく気休め程度に書けたらな、と。
(医学の真面目な話は3割程度になってしまうかもしれません。笑)

そして医療者・医学生の目にも時々止まってもらえたら嬉しい。
何より自分のためのアウトプット!感心や心が動いたことを徒然なく書けたらと。

 

医大生の立場でブログを齧っていた頃、某カテゴリランキングに参加していた。

ふと気になって先日、当時仲良くしていただいた方々の行方を追ってみた。

 

皆ご結婚されたりお子さんが生まれたり、更新頻度が下がっていたり、とちょっとだけ寂しい気持ちになる一方で、それぞれお医者さんとして、またお母さんとしてなど忙しくされているんだろうな、とも思い想像して嬉しい気持ちとで、アンビバレントな感情を抱いた。

 

僕は名前を変えての再出発だがまた皆さんとブログ上でもお会いできたら…。

何にせよ皆様よろしくお願いします...!

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2023.01.12 夕隅 大智